2019年のF1開幕戦オーストラリアGPで、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが3位に入り、ホンダに2015年の復帰後初、さらにさかのぼれば第3期活動の2008年イギリスGP以来の表彰台をもたらした。

現地を訪れていたホンダの八郷隆弘社長からは「よくやったな」とねぎらいの言葉をもらったという田辺豊治テクニカルディレクターは、その喜びを次のように語った。

「今まで『勝ちにこだわって』と言いながらやってきましたけど、表彰台にすら上れていなかったのが上れたということは明らかな1歩前進ですから、長い間開発してきたメンバーにとっては自分たちのパワーユニットを載せたクルマがそういうポジションにつけたというのは自信にもなりますし喜ばしいことだと思っています。正直に言えばホッとしたという面もあります」

ただし喜んでばかりいるわけではない。優勝したメルセデスAMGのバルテリ・ボッタスとは22秒の差。タイヤの差を生かしてフェラーリのセバスチャン・フェッテルを追い抜き、マシンにダメージを負っていたルイス・ハミルトンを追いかけることはできたが、レース終盤にタイムアタックをして記録した自己最速タイムでも0・676秒差をつけられた。

「当然、手放しでは喜べないという気持ちもあります。予選・決勝を通してメルセデスAMGの強さと彼らとの差はハッキリと見えていますから、ホッとしたのも束の間というところです。今年これから先のレースをどう戦っていくか。サーキット特性とマシン特性の組み合わせもあるとは思いますが、そんなに大喜びをしている状況ではないよというところもあります。上を狙えば狙うほど緻密に物事を詰めていかなければなりませんから、それを徹底して開発陣と協議して進めていきます」

レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、「ホンダのパワーユニットは本当に素晴らしかった。あとは我々の車体側の問題が解決できればさらにパフォーマンスを上げることができる。いかに早急にそれを進めるかが鍵になる」とこちらも気を引き締め直していた。(米家峰起通信員)