女子ショートプログラム(SP)7位の紀平梨花(16=関大KFSC)がフリー2位の152・59点と巻き返したが、合計223・49点の4位となった。

SP首位ザギトワ(ロシア)との11・18点差を追った演技は、冒頭に成功させたトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を2本目で転倒。今季6戦負けなしだった国際大会の連勝が止まった。ザギトワが237・50点で初優勝。SP2位の坂本花織(シスメックス)は5位、同8位宮原知子(関大)は6位だった。

紀平選手はいろいろなものとの闘いがあったと思います。初めての世界選手権で好結果を期待され、しかも母国開催。練習から多くの観客が詰め掛け、試合と同じ空気感が常に続く中で、本番への調整の難しさもあったのではないでしょうか。ただ、3回転半+3トーループを決め、転倒はありましたが、その後は見事な立て直しでした。今大会の経験は、確実に22年北京五輪へ生きてきます。

坂本選手は全日本女王の自信、さらに4大陸選手権での課題をクリアして臨んだ舞台だからこそ、優勝争いのトップの戦いの場で勝つためにどう攻めるのか、えたいの知れない緊張感を制するための滑りにもつながったと思います。

優勝したザギトワ選手は最後の舞台に合わせてきた。さすが女王です。最終滑走で4回転サルコーを決めたトゥルシンバエワ選手など、新時代の始まりも感じます。ルール変更があった今季は、ジャンプが助走から着氷終わりまでを1つのパッケージとして評価され、より質の高いものが求められました。この先も質の高い技術を探求しながらどう戦うか、細かい戦略性も大事になりそうです。

(カルガリー五輪代表)