レスリング女子でオリンピック(五輪)4連覇の伊調馨(34=ALSOK)が「イチ流」で競技人生を全うする。リオデジャネイロ五輪以来の国際大会となるアジア選手権(4月23日開幕、中国・西安)へ向け、10日都内での代表合宿に参加した。

先月、米大リーグのマリナーズで現役引退したイチロー氏の話題に目を輝かせ、「貫いたことで、『野球のことを愛したこと』と言われたのは、すごいなと。おこがましいけど、気持ち分かるな」と共感を明かした。

自身はリオ五輪後に約2年競技から離れ、レスリング愛を再確認し、マットに帰ってきた。「イチローさんは常に貫けた。すごい」と心に残ったという。集大成の東京五輪まで残り1年少し。「イチローさんに怒られますよ」と謙遜したが、自分も最後まで貫きたい気持ちはある。

目指すのは史上初の五輪5連覇。昨年末の全日本選手権でリオ五輪金メダルの川井梨紗子に勝ち、代表争いではリードする。直近のアジア選手権には57キロ級の世界女王、栄寧寧(中国)も参戦する。年明けから左右足首痛で万全の調整はできておらず不安もあるが、「東京に向けて大一番になる。いまから勝負は始まっている」と士気を高める。愛を貫き、未踏の頂きを極める。【阿部健吾】