東京オリンピック(五輪)の17日間、早朝から深夜まで、日本中が大会に沸く。2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は16日、五輪競技の種目別の詳細なスケジュールを発表した。バスケットボール男子、陸上9種目などの決勝が午前に組み込まれたことで、午前も午後も連日金メダリストが誕生することになった。

<記者の目>

米国テレビ局の意向があることは間違いない午前決勝の集中だが、視点を変えれば東京大会が目指す「新時代の五輪」にふさわしいとも思える。五輪の見方、楽しみ方は大会ごとに激変している。朝から晩まで決勝競技は「現代的」なのかもしれない。

64年東京五輪、人気競技の決勝は夕食後に近所のテレビのある家に集まって応援したらしい。みんなで見るためには、仕事や学校が終わって「集まりやすい」時間である必要があった。ビデオもなく、見る場所も限られた。応援にも「自由度」が低かったのだ。

ところが、今は違う。いつでも、どこでも、自由に応援できる。移動中はもちろん、授業中も仕事中も(推奨はしないが)スマホやタブレットで見られる。種目数急増で、17日間朝から晩まで使わないとコンテンツの重複がムダになる。

選手への負担は増えるが「テレビ視聴者」や「観戦者」を考えれば、午前決勝も決して悪いことばかりではない。「夜の競技結果を翌朝の新聞で」という常識も今はない。観戦者数を増やすには、注目競技を分散させるのもひとつの手だ。東京大会が競技日程でも今後の大会のモデルになる可能性はある。【荻島弘一】