熱き指揮官が、「日本一熱い」と称されるブースターに惜しまれながら、秋田を去った。B1秋田ノーザンハピネッツは28日、秋田市内でファン感謝祭を開催。前日27日夜に退任を発表したジョゼップ・クラロス・カナルス(愛称ペップ)ヘッドコーチ(HC、50)が、最後のあいさつで感極まった。

「勝っているチームを応援することは簡単かもしれないが、負けているチームを変わらずに応援するところは、真のブースターだと思う」

約4分の退任スピーチでは秋田での2シーズンを振り返りながら途中、言葉を詰まらせた。沈黙が続くと、観客席からは温かい拍手が起こった。

試合中は常にベンチ前に立って選手を鼓舞し、敗れた試合後の会見では誰よりも悔しさを隠さなかった。そんな熱い男の最後の1日を見届けようと、ホームには1385人のブースターが訪れた。ペップHCはイベント中、サインや写真撮影に応じ続け、長蛇の列ができた。

感謝祭を終えると、その足で帰国の途についた。関係者によれば「まだ子供が小さく、故郷のバルセロナ(スペイン)にいる家族と一緒に過ごしたい気持ちが強かった」と同HCから退任の申し入れがあり、ファン感謝祭前の発表となった。後任は未定。3人制の日本代表候補にも成長した野本建吾(27)は「ペップの下でバスケットができたことは、僕にとって大きな財産です」と感謝。教えを胸に刻みながら、ステップアップする。【相沢孔志】