スカッシュ日本ランキング2位の杉本梨沙選手(24)が10日、東京・築地の日刊スポーツ新聞社を訪れ、二刀流での活躍を誓った。

4月に株式会社ダイナムに入社し、情報管理部広報担当に配属された。スポンサー契約ではなく、社員として業務をしながらプロ選手として活動していく道を選んだ。

杉本 社会人として仕事もしながら、プロとしてもやっていきたいと考えていました。昨年、就職活動でさまざまな企業を回って、ダイナムはスカッシュも応援してくれるというので決めました。自分が一番やりやすい環境に身を置くことが大事だと思います。

選手としてのキャリアだけを考えれば、競技に専念できた方がいいのではないか。そう問うと、即座に答えが返ってきた。

杉本 もちろん専念することも大事だと思いますが、すべての選手がそうしているわけではありません。例えば女子サッカーの選手は仕事をしてから練習に行っていると聞きます。両立できると思いますし、それがジュニアの子たちに向けても1つの道になればいいと思っています。

どんな競技でも、どんな選手でも現役を退く日がくる。競技だけではなく、勉強や仕事と両立する考え方はスポーツ界にとって重要だろう。

杉本 ずっと、そう考えてきましたが、大学院(順大)の2年間で自分の考えに結論が出ました。1つの方法として、ありだと思っています。

仕事と競技の両立。業務の日はどんな1日を過ごしているのか。

杉本 午前9時に業務が始まって、午後4時まで仕事をします。そこから練習です。マレーシア遠征(アジア選手権)に行く前は一週間、練習に専念させてもらいました。遠征もあったので、まだ仕事をしたのは10日間に満たないんですけど。

そこで会社員からプロ選手に変わる。スイッチはすぐに変えられるのだろうか。

杉本 練習に向かう電車の中で寝て、気分をすっきりさせます(笑い)。起きた時は「やるぞ!」って気持ちになっています。

これからの目標を聞いた。まず社員としての目標は?

杉本 ダイナムの認知度を広めていくこと、そしてスカッシュのPRもしていきたいです。その2つを同時に広めていくような活動ができたらいいなと考えています。

選手としては?

杉本 今、海外のプロツアーで(世界)ランキング264位なんですけど、今年1年間で100位以内に入りたいです。昨年、1つも(海外の)大会に出られなかったのでポイントがないんです。日本代表の活動と大学院の修士論文などでスケジュールが合いませんでした。ゼロからのスタートなので大変だとは思いますが、何とか挑戦したいです。

スカッシュを始めたのは6歳のとき、母が入会したスポーツ施設にジュニアのレッスンがあったという。偶然のきっかけで生涯をかけて夢中になれる競技に出会えた。

杉本 ラッキーでした。スカッシュは子どもたちが始めるきっかけが限られているので、そのきっかけを作っていきたいと思います。きっかけさえあれば、楽しめるスポーツです。

スカッシュを広めていくため、全力で二刀流に挑む。