<テニス:全仏オープン>◇29日◇パリ・ローランギャロス◇男子シングルス2回戦

錦織の冷静な状況判断、勝負勘が第3セット第10ゲームに凝縮されていた。その前のゲームでツォンガのサービスを破って5-4。サービスをキープすればセットオールから白星に大きく前進できる局面だった。ツォンガは強いのリターンで追い付こうと打ち気にはやっている。錦織は第1サーブのスピードを抑え、スピンをかける。制球を重視してボディー(体の正面)にボールを集めた。第1サーブを4本中3本入れ、乱れたリターンを確実にポイントにつなげてラブゲームで勝利へ流れをつくった。

ハードヒッターと対戦する場合、相手のプレーの波の中からわずかな勝機を見いださねばならない。このゲームの錦織がまさにそうだった。ツォンガの心理を読み、プレーを予測し、その裏を突いた。錦織は強打に対して第1セットから正確なショットを左右に散らし続けた。それがボディーブローのように効いて相手を第4セット途中から失速させた。これも狙い通りだったに違いない。(亜大教授、テニス部総監督)