【パリ=吉松忠弘】世界7位の錦織圭(29=日清食品)が、18年ウィンブルドンから4大大会連続ですべて8強以上という自身初の成績を残した。2日がかりとなった4回戦で、同38位のペール(フランス)に6-2、6-7、6-2、6-7、7-5の3時間55分で撃破した。

8強に残った選手の中で、1試合平均時間は最長の3時間21分。今後に向けて体力面での課題が残った。

   ◇   ◇   ◇

錦織の最近の安定感は高い評価を得ている。今年2、3月にスランプはあったが、18年ウィンブルドンから4大大会連続8強以上。同時期に同じ成績を収めているトップ10は、ジョコビッチとナダルしかいない。また、18年全米から9大会連続で8強以上に進んでいる。

目立ちはしないが、それが世界ランキングでトップ10を維持し続ける理由だ。それを続ければ、4大大会では上位シードにランクされる。勝ち進むのに、早い段階での対戦では、ランクが下の選手としか当たらない。そのチャンスを生かし、初めて4大大会の上位進出が可能となる。

一方で178センチのトップ10で最も小柄な体格は矛盾をはらむ。小柄だからこそ、体力を温存したい。しかし、小柄だから、パワー不足で決めるのに時間がかかる。試合中に休む時間も必要だ。そこを間違えると今大会の3、4回戦のようにフルセットを戦うことになる。

錦織の1試合平均時間、ゲーム数ともに、8強の中ではダントツに長く多い。2日がかりとなったペール戦後「最後の方は動けなかった。正直、あんまりファイナルセットは勝てるとは思ってなかった」と話している。これでは準々決勝までに体力の貯蔵タンクは空だ。準々決勝までどれだけ時短で勝ち上がれるか。これが4大大会優勝への大きなカギになる。