【パリ=吉松忠弘】世界7位の錦織圭(29=日清食品)が再び4強の壁に阻まれた。05年初出場初優勝以来、全仏90勝2敗の同2位、ラファエル・ナダル(33=スペイン)に1-6、1-6、3-6の1時間51分で完敗し、33年佐藤次郎以来日本男子86年ぶりのベスト4はならなかった。

立ちはだかる4強の壁を突破する秘策はあるのか。次戦は、17日開幕のゲリーウエバー・オープン(ドイツ・ハレ)に出場予定で、芝コートの初戦になる。

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ナダルに立ち向かうには限界だった。錦織は2日から3連戦で、前日の4回戦終盤では「全く動けなかった」。エネルギーのタンクはゼロだった。それを、わずかだが「15とか20」に戻して挑んだが、100でも勝つのが厳しい相手。スコア的には粉砕された。

過去、4大大会で錦織がベスト8以上に進んだのは、今大会を含め11回ある。そのうち4強入りしたのは全米の3回だけだ。「もうちょっと8以上は行きたかった」。3回戦で4時間26分、4回戦で2日がかりの3時間55分を戦っては、「今週はこれが限界だった」となる。

今大会、その3、4回戦をストレートで終わらせることができる可能性があった。そこは、戦略や技術のミスというより、リードしたりチャンスと感じた時の油断だろう。それが「メンタル面で十分でない」という言葉につながる。

ジュニアの時から、自分のサーブで40-0とリードしながら逆転される場面が多かった。小柄な体格で、試合中にどこかで一息つくくせが身についており、それがいまだに足を引っ張る。プロでは、それが命取りだ。

5セットまでもつれる試合を避けるには、最初から全開でいくという方法も有効かもしれない。今の錦織なら全開でいっても、3セットまでに力尽きることはないだろう。次戦のハレからは芝が始まる。球足が速く短期決戦の芝なら、有効な手段かもしれない。