2人のオリンピック(五輪)女王の争いは最終決戦に持ち越された。史上初の五輪5連覇を目指す女子57キロ級の伊調馨(35=ALSOK)が、16年リオデジャネイロ五輪金メダルの川井梨紗子(24)との決勝に4-6で敗北。20年東京五輪予選となる世界選手権(9月、カザフスタン)への代表権をかけ、7月6日のプレーオフで川井と雌雄を決する。その大一番を占った。【阿部健吾】

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【展望】川井が第2ピリオドに放った膝下への3本のタックルは、1本目は惜しく、2本目は得点となり、3本目は逆に伊調がカウンターで得点にした。かわして背後に回る往年の鋭い身のこなしをできたのは、距離感の違いにあった。0-5と追い込まれたことで気持ちが前に出て、自然と足が一歩前に出た。「前に出て重心が前にかかっているとしっかり(相手のタックルを)切れる」という。

互いにプレーオフは前半から気持ちを出せるかどうかが勝敗を左右すると口をそろえる。川井は返されるリスクを恐れずに、飛び込めるか。伊調は飛び込まれることを恐れずに、一歩前で対応できるか。互いに自信も不安も生んだだろうこの日の決勝。気持ちを強く持った勇気ある者の先制攻撃が、一気に流れを引き寄せるだろう。