20年東京オリンピック(五輪)セーリング競技の会場である江の島ヨットハーバー沖で、8月4日から470級の世界選手権が開幕する。日本男女ともに、表彰台に乗り、日本ペア最上位となれば、東京五輪代表に内定する。その世界選手権を前に、セーリングを3回にわたって連載する。最終回は、「世界選手権の見どころ」だ。

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最大の見どころは、大会のメダルもそうだが、日本選手にとっては、東京五輪代表選考レース争いになる。まず、その代表選考の方法を説明しよう。日本セーリング連盟は、470級の代表選考レースを3大会指定している。すべて19年で、4月のプリンセスソフィア杯(スペイン)、今大会の世界選手権、8月25日から始まるW杯江の島大会の3大会だ。

その各3大会の順位に得点をつけ、3大会の合計で最も多くの得点を稼いだペアが代表となる。また、世界選手権を除いた2大会は上位8位まで、同選手権は4~8位までに、代表選考レースのボーナス点が与えられる。

その代表選考レースでも、例外は、今回の世界選手権だ。表彰台に乗り、かつ日本ペア最上位になると、その時点で、レースの順位とは無関係に、同ペアが代表に内定となり、代表選考自体は終了する。レースで、どんな下位の順位でも、今回の表彰台で一発内定のチャンスがあるのだ。

4月のプリンセスソフィア杯を終了した時点での代表選考レースの順位は、次の通りだ。

 

▽男子 (1)市野直毅(島精機製作所)、長谷川孝(横浜ゴムMBジャパン)組 29点 (2)岡田奎樹(トヨタ自動車東日本)、外園潤平(JR九州)組 23点 (3)高山大智(日大)、今村公彦(JR九州)組 17点 (4)磯崎哲也、高柳彬(ともにエス・ピー・ネットワーク)組 16点 (5)土居一斗、木村直矢(ともにアビーム)組 9点 (6)小泉颯作(トヨタ自動車東日本)、松尾虎太郎(早大) 5点

 

▽女子 (1)吉田愛、吉岡美帆(ともにベネッセ)組 45点 (2)林優季、西代周(ともに明海大職)組 20点 (3)宇田川真乃、工藤綾乃(ともにヤマハ)組 15点 (4)田中美紗樹(早大)、野田乙心(福岡第一高)組 9点

 

男子は混戦で、女子は昨年金メダルの吉田、吉岡組が首位を走る展開だ。日本男女ともに、表彰台に乗る力は十分に持っている。五輪に向けた準備期間も考えると、今回の世界選手権で内定を勝ち取りたい。もし、表彰台を逃しても、4~8位までは他の2大会の倍近いボーナス点が出るため、8位以上には入りたい。

レース海面は、東京五輪と全く同じ海面が用意されている。江の島沖に指定された6海面があり、その内のどこかでレースは行われる。8月17日から、東京五輪組織委員会が主催する江の島会場を使用したセーリング競技のテストイベントがあるが、それは代表選考とは無関係。今回の世界選手権が、470級にとっては、東京五輪に向けたモデルレースになる。

レース展開は、以下のアドレスで、CGで見ることができる。

https://www.tractrac.com/event-page/event_20190802_classworld/1618