男子60キロ級で3連覇を目指した高藤直寿(26=パーク24)は2度の苦杯にも、東京五輪レースでのリードは守った。

4回戦で相手の頭が顔面を直撃し、「たぶん骨折している」というケガを負い、続く準々決勝には最初から集中力を欠いた。「頭が痛かった」と不用意に指導を重ねて追い込まれると、内股の餌食になった。このままでは最悪の結果に終わるところが、「ラッキーだった」と胸をなで下ろしたのは、ライバルの永山竜樹が準決勝で敗れたこと。3位決定戦でぶつかり、技ありリードの残り2秒で「油断した。一番駄目なやつ」と投げられて寝技につなげられて一本負けも、割り切った表情をみせた。

永山が優勝し、11月のGS大阪でも勝ちを許せば、東京五輪代表を奪われるところだった。優勝されなかったことで、ここまでの序列が崩れることはない。「さすがにまだリードしている。でも強い。今日はモチベーション負け」と素直に負けを認めながら、「来年ここで借りを返したい」としっかり母国五輪の舞台を見据えた。