【バーゼル(スイス)=松熊洋介】男子シングルスの桃田賢斗(NTT東日本)はアンデルス・アントンセン(デンマーク)を2-0で退けて2連覇を果たした。世界選手権で日本勢の連覇は初めて。日本勢が全5種目で表彰台をつかむ史上初の快挙。昨年の最多6個に並ぶメダルラッシュとなった。

桃田は優勝を決めると倒れ込んで両手でコートをたたくようにし、喜びを表現した。「合宿から勝つ気持ちを忘れず、きつい練習に耐えてきた。相手は連戦の疲れがあった。その差が出たと思う」と満足げに語った。決勝もわずか37分の圧勝劇。いつものように丁寧なレシーブとネット前に落とすヘアピンで揺さぶり、どこに打っても決まらない相手はコースを突き、アウトを連発し自滅した。

強すぎた。1回戦からの6試合で1ゲームも失わずに王座を守った。15点以上取られたのはわずか1ゲームと、危ないシーンはほとんどなかった。ただ、6月に引退したリー・チョンウェイ(マレーシア)をレジェンドと位置づける桃田は、お手本をずっと目指していた。「フィジカルでもパワーでも全部(相手に)勝っているから、頑張らなくても楽に自分の試合展開に持って行ける」。その姿をイメージし、自らは全体的な強化が必要だと感じていた。

7月の富山合宿で明らかに意識が変わった。「ちょっと抜いてもいいんじゃないかと思っていたが、今は全部自分に返ってくる。気持ちで負けないように」。レベルアップし、今大会誰も手の届かない選手に成長した。それでも「自分で見てたイメージでは(レジェンドには)まだまだ。もっと観客が沸く選手になりたい。いずれはあの場所にいきたい」。東京オリンピック(五輪)でも同じ、最も高い表彰台の中心へ-。心身共に充実一途の今の桃田に死角は見当たらない。