<テニス:全米オープン>◇26日(日本時間27日)◇米ニューヨーク◇男子シングルス1回戦

錦織がこの大会で結果を残すためには絶対に必要なショットがある。私は第1セット第3ゲームの2ポイント目に注目した。トルンヘリティのアドサイド(左側)からのサーブをバックハンドでストレートに返し、相手のフォアクロスをフォアのダウンザライン(サイドラインに沿うストレート)で打ち抜いた。このショットがキーになる。

錦織のバックハンドの精度は世界が認めている。バッククロスの応酬からのダウンザラインはキラーショットだ。それに比べてフォアのストレートはこれまでポイントを奪うよりはニュートラルな、つなぎのショットが多かった。特にジョコビッチ、ナダル、フェデラーのビッグ3との対戦ではフォアのミスも目立っていた。

この試合、実力差は明確だった。今後勝ち上がっていく中でフォアのダウンザラインでどれだけポイントを奪えるか。体調不良や故障が心配されたが、フォアで攻撃の幅を広げられれば期待も膨らんでいく。(亜大教授、テニス部総監督)