卓球Tリーグの松下浩二理事長(51)は27日、発足2季目となる開幕会見(男子29日東京-岡山、女子30日日本生命-神奈川で開幕)を都内で行い、東京五輪出場がかかる日本代表選手に対し、リーグ要件を緩和する方針を明かした。

男女開幕戦とプレーオフファイナルではビデオ判定を導入する。昨年約11万人の観客動員を14万人に増やす目標も掲げた。

20年東京五輪に対し「50年に1度という機会。金メダル獲得に全面的に協力したい」と松下氏。レギュラーシーズンで最低8試合に出場しないとプレーオフ出場資格は得られないが、その試合数を減らすなど要件を緩和する方向で調整に入る。

東京五輪の出場権は来年1月時点の世界ランクで決まる。男女ともに日本上位2人がシングルス代表、団体戦要員の3人目は日本協会強化本部推薦で決定する。

そのためには国際卓球連盟(ITTF)主催のワールドツアーなどに出場し、世界ランクポイントを獲得し続けなければならず、Tリーグのレギュラーシーズンと被るため、厳しい過密日程となる。Tリーグが技術力向上の場になることはあっても、東京五輪の足かせになってはならないとの考えだ。

ビデオ判定導入は4月、ブダペストで行われた世界選手権個人戦がきっかけとなった。伊藤美誠(スターツ)早田ひな(日本生命)組が女子ダブルス決勝で「誤審」に泣き、日本協会がITTFに抗議した。松下氏は「あの直後にTリーグも導入を検討しようとなった」と振り返った。

今季から試合スピードを上げるため基本的にジュースをなくす。ただし、各試合のマッチポイント、4試合で決まらなかった場合に実施する1ゲームによる延長戦では従来通り、ジュース制を取る。

昨年は1試合平均2000人と掲げた観客動員だったが実際は1200~1300人だった。今年は1試合平均1500人と目標を定め、年間では14万人を実現したい考えだ。

松下氏はこれまで通り、来シーズン(20-21年)から男女2チームずつを増やし、6チームリーグを実現すると宣言。また、21-22年シーズンでは2部、3部の下部リーグを組織したい考えもあらためて示した。

現在、日本リーグ実業団連盟と交渉中とし、好感触を得ているという。一方、実業団は各企業間で活動の温度差があり、一律でTリーグのルールに組み込まれることに対し、ハードルが高いと感じるチームもある。松下氏は「2~2・5億円かかる経費の半分ならというチームもある。何か策を考えていきたい」と語った。【三須一紀】