男子90キロ級で、初出場の向翔一郎(23=ALSOK)が世界王者を狙う。同階級は向含め、16年リオデジャネイロオリンピック(五輪)金メダルのベイカー茉秋や前大会銅メダルの長沢憲大、今大会男女混合団体代表の村尾三四郎の実績がほぼ横並びで、井上康生監督が4月の全日本選抜体重別選手権の「優勝者を代表に選ぶ」として向が初の世界切符をつかんだ。

明るい性格で内股などの足技や背負い投げなどの担ぎ技を武器とする。大会ごとに波があり、不用意に技を掛け急ぎ自爆することが多いため「我慢の柔道」を心掛ける。7月のグランプリ(GP)ブダペスト大会では左足を負傷し、「中足骨骨折」と診断された。「自分の回復力は普通とは違う。1カ月かかるところを1週間で治す」と“超人”宣言していた。前大会覇者のシェラザディシビリ(スペイン)ら強豪ぞろいだが、向の超人ぶりに期待だ。

女子70キロで、新井千鶴(25=三井住友海上)は3連覇を目指す。前大会と昨年11月のグランドスラム(GS)大阪大会を制して、早々に代表権を勝ち取った。左組みで長い手足を生かした切れ味鋭い内股と大外刈りを得意とし、5月のGSバクー大会ではオール一本勝ちするなど安定した強さは健在。隙がない柔道で3連覇し、20年東京五輪代表に王手をかけたいところだ。