女子78キロ超級で個人戦初出場の素根輝(あきら、19=環太平洋大)が金メダルを獲得。2連覇を狙った朝比奈沙羅(22=パーク24)は準々決勝で敗退し、敗者復活戦を勝ち上がり銅メダルだった。男子100キロ超級では、16年リオデジャネイロ五輪銀メダルの原沢久喜(27=百五銀行)が銀メダルを獲得した。

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原沢は残念だった。結果的には「指導」を3つ取られての反則負け。最後は頭を打った影響だったのか、ほとんど柔道にならなかった。ただ、長い試合にせず勝てるチャンスはあった。切れる技を持ち、柔道もうまい。優勝できる選手だけに、もったいなかった。

いい組み手になっても技が出ない。「今だ」という場面で、思い切れない。外国人のパワーで返されるのが不安なのだろうが、リスク覚悟での攻めも必要。もう少し、自分の技に自信を持てれば、思い切って技に入れるはず。今回の反省を生かせば、五輪では十分金メダルの可能性がある。

素根は逆に思い切ってできていた。4月に代表に選ばれて以来、対戦が予想される選手の組み手を徹底して研究。ムダな指導を取られず、相手に先に指導がいくように練習してきた。投げての一本も大切だが、指導をコントロールすることが特に重量級では必要。相手も指導狙いでやってくるからだ。

先に相手が指導を取られれば、精神的にも有利に戦える。先に自分に指導が来れば、不十分な組み手でも強引に攻めるなど余裕がなくなる。指導を取られず、逆に相手に取らせる。今の柔道では、これも勝利への大きなカギになる。(一般社団法人古賀塾塾長)