村上舜(22)が初優勝に向けて好スタートを切った。昨年4位の村上は1回戦29組目に登場。4本目に8・83、5段階で最上級のエクセレントスコアを出し、男子出場137選手中最高点の16・50で2回戦に進出した。大会出場に興味を示さず、独自の道を歩んできた“天才”は「自分のために」と考えを変え、東京オリンピック(五輪)を目指す。男女混合リレーのアロハカップは、南アフリカが優勝。昨年準優勝の日本は4位だった。

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赤いジャージーの村上が、波を自在に乗りこなした。スピードあるカーブで豪快に波しぶきをあげ、切れ味鋭いターンで浜辺のファンを魅了した。3本目に7・67を出すと、続けて8・83の高スコア。「ジャッジがいい点を出してくれた」と笑顔で振り返った。

昨年のこの大会で4位に入った。2位の五十嵐に隠れたが、日本の金メダル獲得に大きく貢献。それでも「五輪は魅力を感じない。もう大会はいい」と話し、競技の枠を外れて自由に世界の波に挑む「フリーサーファー」として生きることを目標に掲げていた。

しかし、1年間で考えは変わった。世界4位で周囲から「東京五輪頑張って」「応援している」と言われた。熱い期待に「夢をかなえるために、五輪に出るのもいいかと」。もともと、大会を転戦してランキングを上げるタイプではない。5月のジャパンオープン、圧倒的な強さで一発勝負を制し、五輪出場権がかかる今大会の出場を決めた。

波の状態が不安定の中、実力あるチャンピオンシップツアー(CT)選手は余裕を持って勝ち上がる。高得点に特に意味はない。それでも、14・50で1回戦を突破した五十嵐が「60%くらい」と言ったのを意識したのか「まだ50%くらい」と淡々。「まあ、こんなもんじゃないので」と、自信たっぷりに言い放った。