男子グレコローマンスタイル63キロ級の太田忍(25=ALSOK)が初の世界一に王手をかけた。

初戦、準々決勝を勝ち上がり、準決勝では地元カザフスタンのケリスパエフと激突。第1ピリオドは消極的として失点したが寝技を耐え切り0-1の最少得点差で折り返すと、後半に一気呵成(かせい)。「くぐりの胴タックルが決まった」と4点獲得の大技などを打ち込んだ。「しんどいところで決められた」と自己評価の逆転で10-1のテクニカルフォール勝ち。「楽しかったですよ。アウェーならでは。こんなに盛り上がるとは。勝ったかいがあった」と敵地の雰囲気も歓迎した。

リオデジャネイロ五輪銀メダリストは主戦の60キロ級での出場を逃し、非五輪実施階級の63キロ級に参戦している。東京五輪の出場は自力ではかなわず、実施階級の他選手の結果待ちとなる。この日は3試合ですべてテクニカルフォール勝ちを並べてみせた。「待つことしかできない立場ですが、やるべきことをやる」と、まずは五輪、世界選手権を通じて手にしていない金メダルをつかむ。