スケートボード・パークの世界女王、岡本碧優(13=Proshop BELLS)が、さらなる進化を誓った。

岡本は19日、初優勝した世界選手権が行われたブラジル・サンパウロから帰国。金色の優勝盾を手にしながら「優勝はうれしいけれど、最後に技が決まらなくて…」と、悔しい気持ちを口にした。

五輪予選対象大会3連勝で五輪ランキングもトップを独走。東京五輪の金メダル有力ともいわれる。それでも「まだまだダメです。もっと技を覚えて成績を残したい」と謙虚に話した。「うれしいけど、実感は沸かない。もっと世界で活躍したい。何回も勝ちたい」と貪欲に、さらなる高みを目指して言った。

パーク女子の世界で圧倒的な成績を残すのは、武器とする540(ファイブフォーティ=1回転半)が決まっているから。指導する笹岡拳道氏(26)は「今は540で勝てているだけ。たまたまですね」と冷静に話す。今は岡本ほど完璧に540をこなす女子選手はいないが、世界はすぐに追いつく。それが分かるからこそ「今のままでは勝てなくなる。そんなに世界は甘くない」と笹岡氏は言う。

昨年11月、初めて出場した世界選手権で5位に入った。そこに満足せず「もっと、うまくなりたい」と、自宅を出て笹岡氏の実家に住み込んで教えを受けた。「寂しくなることもある」と言いながらも「うまくなるために、自分で決めたから」と話した。

今回は公式練習の時間が短く、45秒間の構成を完成できなかった。「(45秒間の)ルーティンができずに臨むことになった」と笹岡氏は話した。スケートボードでは、会場ごとに作りが違う。ボウルの大きさや深さ、形…。コースの中の障害物や縁の状態まで、同じ元はない。初めてのコースでもすぐに把握し、合った構成を考えなければならない。それが、今回はできなかったという。

「普通の選手なら0からではなく、30くらいからルーティングを作る。でも、(経験の浅い)岡本は0から作らないといけない」と笹岡氏。世界に飛びだしてまだ1年、まだまだ岡本には足りない部分もある。逆に言えば世界デビュー1年で頂点に立ち、さらに伸びシロもあるということだ。

次は11月13日からの国際オープン(リオデジャネイロ)。五輪ランキングは今回の世界選手権で19年度を終わり、20年度初の大会となる。「2カ月弱、新しい技を入れて質を上げ、スピードとエアを強化したい」と笹岡氏が言えば、岡本も「笹岡家は私に力を貸してくれる。一緒に頑張っていきたい」と話した。「東京五輪金メダル候補」も現状に満足することはない。さらなる高みを目指して、進化を続ける。【荻島弘一】