2年前は4歩目で散った日本人初の100メートルファイナリストの希望は、今年は1歩目で遠のいた。

男子100メートルのサニブラウン・ハキーム(20=フロリダ大)は準決勝の号砲の音に、1人だけ完全にワンテンポ遅れた。反応速度は1組で最遅の0秒206。決勝を9秒76で優勝したクリスチャン・コールマン(米国)含め強豪がそろう準決勝では痛恨すぎた。中盤は持ち味を発揮し、追い上げたが、10秒15(向かい風0・3メートル)の5着。「行ける気はした」決勝は、自動的に進める2着まで0秒03差、タイムで拾われた最低ラインには0秒04届かなかった。

「なんじゃこりゃと。もう何が起こっているか分からなかった」と振り返った。そして、あの場面を説明。「全然、音が聞こえなかった。『鳴ったかな』と考えてしまうぐらい」。スタートラインには「やる気満々」で立ち、集中力を高めていた。だが思わぬ形で「消化不良」の終幕。前回大会は4歩目でバランスを崩し、準決勝で敗退していた。「2年前は本当に悔しかったですけど、今年に関しては、ちょっと自分でもよくわからない」。残念がりながら、アンカーで起用予定の400メートルリレーに向け、必死で気持ちを切り替えた。「プレッシャーに負けず、しっかり金メダルを取って帰れれば」と話した。