4年目となるB1の開幕戦を川崎ブレイブサンダースが制した。

9月に行われたW杯中国大会で日本代表としてプレーしたニック・ファジーカス(34)が両チーム最多タイとなる20得点を挙げ、勝利に貢献した。「W杯でいい経験ができた」。世界の舞台で壁に跳ね返されたが、Bリーグで再スタートを切った。序盤から積極的にリバウンドを取りにいき、両チーム最多の14本。隙があればドリブルで持ち込んでシュートを決めるなど、攻守で躍動した。

ともに代表で戦った19得点の篠山と2人でチームの半分の得点を挙げ、引っ張ったのには「新しい川崎」を見せるという思いがあった。佐藤新監督に代わり、熊谷、大塚、カルファニ、ヒースと新加入選手も加わった。W杯後、合流してまだ2週間で新しい選手との連係も心配されたが「カルファニもヒースもチームのことを考えている。今までにいない外国人選手。彼らのためにもチームを作り上げていきたい」と中心となって声をかけながら、そつなくこなした。

W杯では全5試合に出場した。ニュージーランド戦では31得点と結果を残したが、それ以外は10点台。「サイズ、フィジカルの強さが全然違った」と世界との差を痛感させられた。その経験をリーグで自身とチームの成長につなげる。「正直Bリーグのレベルはまだ低い。自分がもっと高いレベルでやってきたからこそ、今の自信につながっている」と語る。

来日8年目のシーズンを迎えた。Bリーグ1年目にはレギュラーシーズンMVPを獲得しながらチャンピオンシップ決勝で敗れ、頂点にはあと1歩届かなかった。チームの中心として引っ張る思いは今まで以上に強い。昨年、日本国籍も取得し、来年は東京五輪出場も視野に入れている。「楽しみでしかない。出場できれば、自分の人生の中で大きな経験になる」。ファジーカスは、まだつかんでいないB1優勝を成し遂げ、いい形で夢の舞台につなげるため、最高のスタートを切った。【松熊洋介】