フィギュアスケート男子で10年バンクーバー・オリンピック(五輪)7位入賞のプロスケーター織田信成氏(32)がアイススケート部監督を務めていた関大に対する不信感をつづった件で、関大の芝井敬司学長は4日、同大学の公式サイトで見解を示した。

冒頭で「私たち関西大学は慎重に対応してきたつもりですが、結果として織田信成さんの心情を十分に斟酌できず、事態を適切に収拾できなかったことを深く反省しています。今後とも、誠意をもって対話を続けたいと思います」とつづった。

同大学は9月9日、同日付で織田氏がアイススケート部監督を退任すると発表。その際に理由が「多忙」とされていたことに対し、織田氏は同29日に自身のブログで「本当の理由はリンク内で私に対して嫌がらせやモラハラ行為があった」と反論。春から体調を崩していたことを明かし、大学側の対応が誠意に欠けると指摘した。

双方は弁護士などを交えて、7月に会談。織田氏は2カ月経過しても報告がなく「このままでは何も変わらないだろうと半ば諦めた気持ち」で職を辞したという。さらには「辞任してから事実とは違う内容が関西大学側から発表され、精神的に耐えられなかった」と思いを率直に記していた。

一方、関大は9月30日夕方に見解を発表。7月に織田氏側から指導方法などに関して強い要望があったとし「複数の関係者に対してヒアリングを行ってまいりましたが、総合的にみて、その要望を受け入れることは妥当でないと判断しました」。織田氏の体調を考慮し、結果を伝える準備を慎重にしていたところ、同氏から辞任の申し入れを受けたと説明した。加えて退任発表は、所属事務所と十分協議した上だったと主張していた。

この日、芝井学長は「最優先に考えなければならないのは、アイスアリーナで日々練習に励む、多くの大学生、生徒、子どもたちです。フィギュアスケート競技が本格シーズンに突入し、大切な時期を迎えています。関西大学は、たかつきアイスアリーナに集うすべての利用者の静謐な練習環境の維持・向上に最大限努めます」とコメントを寄せた。