創設10年目の迎えた秋田ノーザンハピネッツが、大阪エヴェッサに81-58で快勝し開幕戦を白星で飾った。第1クオーター(Q)は硬さから0-11とリードを許すも、残り2分29秒でジャスティン・キーナン(30)のチーム初得点から逆襲開始。第1子がこの日誕生した保岡龍斗(24)が立て続けに2本の3Pシュートを決めるなど、流れを変える働きを見せた。クレージーピンクに染まったホームで、今季の目標「チャンピオンシップ(CS)出場」に向け幸先のいいスタートを切った。

ハピネッツブースターを熱狂させるにふさわしい「曇りのち晴れ」の開幕戦だった。大観衆でピンクに染まった10年目のスタート。しかし期待とは裏腹に、シュートが決まらない。ため息の連続で第1Q残り3分40秒、0-10となりタイムアウト。前田HCは「点は入っていないけど悪くないよ」と励まし、白浜主将や新加入のベテラン古川らを中心に、「とにかく我慢しよう」と確認し合った。すると残り3分から出場した保岡が2本の3Pを決めムードを変えた。第2Qには2Pが10本中9本決まるなどチームもリズムを取り戻し、最後は大差での白星発進。白浜主将は「今までだったらズルズルといっていた。あそこで変わらなきゃと思ったし、そこが1つ成長できたのかなと思う」と手応えを口にした。

リーグ戦初采配の前田HCは「緊張しました。このまま点が入らないかと思いましたが、声援のおかげでシュートが入るようになりました」と感謝した。MIPの保岡は、ヒーローインタビューで3月に結婚したこと、この日未明3時すぎに長女が誕生したことを報告。「ブースターのために、チームのために、そしてわが子のために勝利したいと思っていた」と勝利を喜んだ。今季は3×3の日本代表として海外遠征も経験する中、外国人選手への苦手意識もなくなった。「当たり負けとか恐怖感がなくなった」。得意の3Pも、ラインからさらに離れた位置からの練習で精度を高めるなど、開幕戦で成長を証明してみせた。

横浜から新加入のポイントガード細谷も16得点4アシストと存在感を見せた。昨年まで残留争いが続いてきた中、新旧メンバーが融合しての勝利。前田HCは「最低ラインがCS進出。そこへ行く『質』としては物足りない。ここからしっかり積み上げていきたい」と浮かれず、第2戦に切り替えた。【野上伸悟】