レバンガ北海道が初めて開幕戦を勝利で飾った。昨季1部残留プレーオフで戦った中地区の横浜を72-67で下した。07年に北海道にチームが誕生して以来の開幕戦連敗を12で止め、昨季2月9日の新潟戦から続いていたリーグ戦連敗も22でストップ。今季限りでの引退を表明している折茂武彦(49)と戦うラストシーズンは最高の滑り出しとなった。

開幕戦勝利を告げるブザーが初めて北海道の地で鳴り響いた。胸に「変わレ」の今季スローガンが刻まれたユニホームに身を包んだ5601人のファンが本拠地を埋め尽くす。大歓声が会場を包み込む中で33得点を挙げてこの日MVPに選ばれたマーク・トラソリーニ(29)は「6000人近くのファンの方々がきてくれた。そのエネルギーのおかげで最後まで粘って勝利につなげることができた」とファンに感謝した。

第1クオーター(Q)からコート上の選手たちが躍動した。開始38秒。エース、トラソリーニの外角からの2点ジャンプシュートが新生レバンガ劇場の幕開けだった。同Qは11得点のトラソリーニに新加入のマーキース・カミングス(30)が6得点。2人の外国人コンビでリードを奪うと、今季のテーマに掲げるハードな守備も光った。16-14の残り2分29秒にはカミングスが相手のパスをカットして、ボールを追ってコート脇の看板に直撃した。その23秒後には途中出場の多嶋朝飛(30)がルーズボールを追いかけサイドラインそばの観客席に飛び込んだ。流れを渡さないハッスルプレーで第1Q終了時には7点のリードを保った。

選手が入れ替わっても変わらない。第1Q途中から出場した市岡ショーン(28)は相手のアタックに体を張って対抗した。試合を通して7リバウンド、4ブロックショットと貢献した。19点差がついていた第3Q残り3分55秒にもコートから外れそうなボールに身を投げ出してキープしようとする執念も見せた。

第4Qには残り1分48秒で最大20点差を横浜に追いつかれた。それでも直後にカミングスがインサイドの密集をかいくぐり2点ショットを沈めると、トラソリーニも続いて4点差に。残り27秒でも2点差に詰め寄られたが、残り8秒で相手ミスから2本のフリースローを獲得した橋本竜馬(31)が2本をきっちり決めて勝負を決めた。

開幕前に新司令塔の橋本が「全員の共通認識をしっかり持って、同じページを進んでいかないといけない」と、チームの成長のために共通認識の重要さを語っていた。ベンチスタートの選手も含めチーム一丸となり、勝利を引き寄せた。

開幕戦1勝。それだけでチームが変わったと断言するのは時期尚早かもしれない。だが選手にとっても、ファンにとっても特別なシーズンであることには間違いない。この日、現役27季目のシーズンを迎えた折茂がコートに立つことはなかった。欠場は18年11月18日ホーム川崎戦以来。試合後にコートでマイクを握った折茂は「今シーズンをもって引退する。支えていただき、応援していただき感謝しかない。今日こうして勝てたことは僕自身チームの一員としてうれしい。どうぞレバンガ北海道を引き続き応援してください」とあいさつした。

折茂が「クラブが立ち上がって10年目で、一番強いチームをお見せできる」と宣言したチームは、その片りんを十二分に見せる白星スタートになった。

次戦は7日に横浜と同じく札幌・北海きたえーるで対戦する。