選手側の「合宿辞退」など騒動の渦中にある全日本テコンドー協会が8日、都内で理事会を開いた。

長期政権を築く金原昇会長、選手ファーストの改革を求める00年シドニー五輪銅メダリスト岡本依子副会長(48)らが出席した。

岡本副会長は、会場入り直前に「今日はちゃんと選手が安心して臨めるように、決めないとアカンと思う。強化委員会の方向性で、選手がセコンドを選んでいける、その確約までしないといけない」と強い決意で口にした。

また理事会の責任についても言及。「いままでずっとやってきた責任がある。強化委員会の解散で話し合うと思うが、それを選び続けてきた理事会も解散しないといけない。皆に訴えたい」とした。

選手側は9月に28人中26人が強化合宿をボイコット。騒動が公になった。全日本選手権8連覇中の江畑秀範(27=スチールエンジ)らは<1>自己負担を伴う強制合宿の任意参加への変更<2>所属コーチと代表コーチの密なコミュニケーションを求めている。協会側に改善の動きがないため、東京五輪まで1年をきった段階で、強化合宿を大量の選手が辞退。対立が鮮明になった。

協会側は1日に選手とその所属関係者と都内で協議会を開催した。しかし協議会は冒頭から紛糾した。選手が5月末に協会に出した意見書に対して、協会は9月に回答書を掲載。その上で世界テコンドー連盟(WT)に「選手から一切不満はなくなった」と報告した。これに選手は猛反発。江畑は「一切不満がないというのはうその報告です」と憤った。協会側は、選手が回答書に不満を言わなかったことでそう報告したと説明。現状への不満と、回答書への不満を切り離して、現時点で一切の問題がないかのようにWTに報告した。かみ合わない議論に選手ら協議会を途中退席する異常事態に発展した。

金原会長は、協議会後に「有意義な1日だった」と発言。さらに「コミュニケーション不足」と説明していた。

金原会長は、この日の理事会で善後策を話し合う予定。ただ選手の訴えは2年以上前から続いており、問題が公になるまで対処しなかったことも事実。江畑は「協会への選手の信頼がないです」と失望感をあらわにしている。金原会長は現執行部のままで改善を目指していく考えだが、岡本副会長らは理事の総辞職を提案する方針だ。