10月11日に行なわれるF1第17戦日本GPのフリー走行1回目に出走する山本尚貴が、自身初めてのF1マシンドライブに向けて最後の調整を行なった。

前日の午後に鈴鹿サーキット入りした山本は、チームと合流してフリー走行のプログラム内容についてのミーティングを重ねた。この日はともにマシンをセットアップし運営するエンジニアたちと1周5.807kmのコースを歩いてお互いの理解を深め合うとともに、さらにプログラムの吟味と準備を進めていった。

F1はセットアップやデータ収集などが多岐にわたるため、いくら準備してもしきれないと山本は話した。「いくら時間があっても足りないし、いくら頭があっても足りないくらいだなという気分ですが、楽しんではいますけどね。鈴鹿の経験はたくさんあるから良いんですけど、F1の実走での経験は全くないわけですから、出来る限りの準備をしようと今も頑張っている最中です。本当に時間が過ぎるのがあっという間という感じですね」。

シミュレーターでその速さを体感しているとはいえ、実際にF1マシンをドライブするのは初めて。ある程度のレベルで走るならば容易だが、限られた時間の中でマシンの限界点に近いレベルで走らせるためには多くが求められると山本は言う。「思い出作りでF1を運転することだけなら全然普通に運転は出来るんですけど、そのためにここに来ているわけではないし、90分間という限られた時間の中でどこまでやれるか。実質3ランしかできなくてタイヤのセット数も決まっている。その中で自分がどこまでやれるか。時間がたっぷりあって練習すれば速くなれる人はたくさんいるけど、この限られた時間の中でどれだけ習熟度を高くして自分のモノにできるかというのがドライバーとしてひとつ求められていると思います。それが出来るかどうかは自分の実力次第だと思います」。

明日の午前10時から90分間のフリー走行1回目でどんな目標を掲げるのか。山本は鈴鹿に詰めかける大勢のファンの声に応えられる走りを見せたいと意気込みを語った。「思いはいっぱいあるんですけど、ちょっと一言では言い表せない。レーシングドライバーは結果が全て。明日走りで皆さんの期待に応えたいなと思っています」。(米家峰起通信員)