【シュツットガルト=阿部健吾】男子個人総合決勝が行われ、萱和磨(22=セントラルスポーツ)は6種目合計85・899点で昨年に続く6位だった。予選、団体決勝に続く3度目の6種目というタフな日程を乗り切った。昨年3位のニキータ・ナゴルニー(ロシア)が88・772点をマークして初優勝、団体総合に続く2冠を達成した。

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最後の鉄棒で、萱は迷いが生じた。唯一不安があった新技の手放し技「ヤマワキひねり」を回避すべきか。予選、団体決勝も全6種目を通し、今大会18演技目だった。それは内村ら歴代エースが歩んできた道。その事実が弱気の虫を排した。

「疲労とか言ってられない。やっぱりエースは経験してきている。これから日本を引っ張ると思っているのなら、今日もしっかりやりたい」。鉄棒は冒頭に「ヤマワキひねり」を決め、最後の下り技までをつなげきった。着地を決めて、この日6回目の大きなガッツポーズで締めた。

昨年と同順位だが、難度を示すDスコアを上げ、出来栄え点のEスコアも押し上げ、1・134点を上積みした。「自分の体操がかなり評価されてきている」と肌で感じる。上位陣も同様に進化をみせ、明るいばかりではない未来にも、「今日は跳馬で離された。離されなければメダルも見えてくる」。今後も迷いなく、やり抜くのみ。