絶対女王の古川学園がストレートで聖和学園を破り、15年連続40度目の「春高切符」をつかんだ。身長183センチのキューバ人留学生バルデス・メリーサ(2年)が28得点の大暴れ。最高到達点は女子としては異次元の3メートル20。将来的には日本国籍取得を見据えるエースが日本一へと導く。

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大砲メリーサがレフトから攻撃を引っ張った。スタメン4人が1、2年生の若き古川学園は、第1セットこそ最大4点差をつけられ追う展開。同セット途中から入った上沢沙織主将(3年)が「1、2年生は自分のプレーだけに集中して」と勇気づけ、流れが変わった。キューバ人エースが豪快なスパイクを次々と決めるなど、16点目で初めてリードを奪い、25-22で接戦を制した。第2、3セットは危なげなく快勝した。

勝利の立役者メリーサは「優勝できてすごくうれしい。今日はサーブとスパイクが良かった」。来年1月5日に開幕する全国大会に向けては「日本のレベルは高いので楽しみ。レシーブとブロックを鍛え直したい」。昨年度まで在籍した同郷のマルチネス・レグラ(20)に続く留学生。「(故郷を離れ)寂しいけどバレーをやっていれば大丈夫」と笑顔を見せた。

将来の夢は「火の鳥NIPPON(女子日本代表の愛称)」入りだ。「日本人になってオリンピックを目指したい。東京(五輪)はちょっと早いけど」。ほとんど話せなかった日本語も上達し、すでにU18日本代表強化合宿にも参加。夢の実現へ1歩1歩近づいている。最高到達点はすでに代表クラスを上回る数字を残し、男子のエース石川祐希(23)の3メートル51とは約30センチ差。どこまで近づけるのか期待は膨らむ。

岡崎典生監督(50)は「メリーサはどんなチームにも通用するスパイカー。周りも遜色がないぐらい決める力があるが、頼ってしまっている。頼らず生かせるようにしたい」。チームがさらに成熟すれば日本一も夢ではない。【山田愛斗】