全米各地やカナダを飛び回って試合を行うNBA。開幕週の4日間で遠征3試合を消化したウィザーズの八村塁(21)が移動した距離は、ワシントンからの往復を含めると合計約5000キロに及んだ。これは、東京からマレーシア・クアラルンプールへの直線距離にほぼ匹敵する。その詳細を追ってみよう。

開幕前日、ウィザーズが本拠地を置くワシントン市内で練習を行った後に、八村は敵地ダラスへ乗り込んだ。出発前には「わくわくしている」と八村。この移動は直線距離で約1900キロ。東京から沖縄・石垣島との距離に相当する。米国内での移動といえども時差があるため、到着したら時計の針を1時間戻すことになる。

開幕戦でダブルダブルの鮮烈デビューを遂げた直後には、会場から空港に直行し、チャーター機で約300キロ北上してオクラホマシティーに移動。東京からだと名古屋のちょっと先、三重県津市までの直線距離に近い。

開幕2戦目に19得点を挙げてチームを勝利に導いた八村は「(疲れは)何とかします」と言い残し、再び会場から空港へと直行。翌日の試合に向けてチャーター機に乗り込み、約650キロ南下してサンアントニオへ。東京~広島間とほぼ同じ距離を移動し、深夜1時半ごろホテルに着いた。

連戦の疲労をものともせず、八村は3戦目のスパーズ戦でダンク3発をたたき込む活躍を見せた。そして翌日、サンアントニオから約2200キロ北東に位置するワシントンへと帰ってきた。東京からだと国内を通り過ぎて台湾・台北にたどり着くほどの移動距離だ。

大リーグでも移動を伴う連戦は珍しくないが、1度のカードで3~4試合が組まれる野球に比べ、NBAではより短いサイクルで移動を重ねていく。つまり、心身への疲労も蓄積されやすくなると言える。

遠征3戦の終わりに八村は「やっぱり体のケアは大事。まだ3試合しか戦っていないが、これから(試合を)積んでいく中で体がきつくなる」。NBAプレーヤーとして観衆の前で華々しく活躍するためには、練習で技術を磨くだけでなく、コートを離れたあとの過酷な移動も克服しなければならない。【奥岡幹浩】