渦中の全日本テコンドー協会のずさんな体制が、あらためて浮き彫りになった。日本スポーツ仲裁機構は30日、都内で会見し、申し立てをした選手の、東京五輪の2次選考会(10日)への出場資格を認めた。

トラブルの原因は、昨年11月に協会側が、選手側に行った五輪選考に関する説明会において「2019年全日本選手権」とすべき部分を「2018年全日本選手権」と誤って資料に記載したこと。選手生命にも関わる東京五輪の選考における記載ミス。日本スポーツ仲裁機構は、協会側の過失を認めた。

説明会後、協会側が正式発表した東京五輪の2次選考会の出場要項は「19年全日本選手権で3位以内」などが条件だった。申し立てをした選手は、2018年の全日本選手権では3位以内に入ったが、今年は2回戦で敗れるなど出場資格を有していなかった。しかし、説明会において「2018年」とされていたことから、2次選考会の出場資格があると捉えていた。協会側は訂正したと主張したが、日本スポーツ仲裁機構は「出席者に周知されたことの証明はない」と結論づけ「出場資格を認めるべき」とした。

これを受け、全日本テコンドー協会は、同様に18年全日本選手権で3位以内に入った選手全員に、東京五輪の2次選考会への追加出場できるよう理事会で承認を進めると発表した。

全日本テコンドー協会を巡っては、昨年8月のモスクワGPでは協会の連絡の不手際で出場を希望する選手2人がエントリー漏れ。また集まる意味の薄い強化合宿に年間100万円の自腹参加を求められ、参加を辞退した場合は「強化選手から外します」と指摘されるなどの事態もあって、選手と協会側の溝は深まるばかりになっている。契約を解消するスポンサーも出ていた。28日の理事会では理事の総辞職が決議され、検証委員会が立ち上がるなど混乱が続いている。