東京五輪のテスト大会を兼ねたW杯団体戦で、日本がメダル争いのライバルとなるドイツに3-1で勝った。3位決定戦がないため、メダルが確定した。

2番手に登場した世界ランキング5位のエース張本智和(16=木下グループ)が過去2敗の同12位オフチャロフに3-1で初勝利。得意のバックハンドレシーブ「チキータ」だけでなく「(4月の)世界選手権後から地道にやってきて成果が出た」と強化中のフォアもさえた。

団体世界ランキングは日本が2位、ドイツは3位。五輪本番を占う上で大きな経験、勝利となった。倉嶋洋介監督は五輪に向け「負けていたら嫌なイメージがドイツに残る。それが払拭(ふっしょく)できて良かった」と言った。張本も「五輪で決勝に行くには必ず勝たないといけない相手」と、この勝利を喜んだ。

16年リオデジャネイロ五輪では準決勝で日本が3-1と勝利し、メダルを確定させた。逆に08年北京五輪の準決勝では2-3で敗戦。過去5勝6敗と時代を超えてしのぎを削ってきた相手だ。

そのリオ五輪メンバーで同48位の吉村真晴(26=名古屋ダイハツ)が3番手で登場し、過去3敗の同8位ボルに3-0で初勝利。格上を倒し、日本に流れを引き寄せた。

この日、中継局の企画でラグビー、ワールドカップ(W杯)日本代表の堀江翔太、稲垣啓太、福岡堅樹が来場し試合後に記念撮影。張本は「この1、2カ月、ラグビーのニュースしか見ていないぐらいすごい方たち。そんな方々と握手できてうれしかった。団体戦はワンチームで戦えるようにと思っていた。今日勝てたのもラグビーの影響があると思う」と語った。前日、倉嶋監督が選手とのグループLINEに「ワンチームで頑張ろう」とメッセージを入れていた。

吉村はラグビー3選手に、卓球選手特有のクセについて質問されたと明かした。プレーの合間、手のひらを卓球台に付けるしぐさだが「手汗? と聞かれ、そうですと答えました」と笑った。

9日の準決勝はいよいよ王者中国戦。張本は「日本の皆さんに中国に勝つところを見せて来年にもっと期待してもらいたい。ここで勝つことは、どこで勝つよりも大きな意味がある」と、五輪前哨戦を強く意識した。【三須一紀】