昨季出場停止処分を受けた日大DL宮川泰介(4年)が、1年半ぶりに出場した。反則問題を起こした昨年5月の関学大戦以来で、横国大戦に先発でフル出場。検察が起訴猶予としたことで戦列復帰し、41-3での開幕6連勝で2位以上確定に貢献した。

宮川は副将として、セレモニーにも参加した。攻撃陣が1分40秒にTDパスで先制すると、最初の守備で待望の出番となった。公式戦は昨年1月のライスボウル以来。9回で38プレーあった守備の全シリーズで、DLとして最前線で体を張り、2タックルを決めた。

橋詰監督は「試合当日でもやっている」と趣味ともいうウエートトレ。この1年半で105キロまで15キロ増量した。そのパワーを発揮して、相手OLを押し込んであおむけに圧倒シーンもあった。守備の柱の復帰で、開幕戦以来となるTDなしに抑えることもできた。

昨年10月にチーム復帰後、ここまで17試合はベンチから見守ってきた。待望の復帰に報道陣もテレビ4社など50人近く、試合後は急きょ会見が設定された。最初に「多大なるご迷惑をかけた」とあらためておわびを述べた。くしくも関学大戦と同じ会場での復帰だったが「未熟な自分が引き起こしたこと。うれしいとかではなく、心より感謝しかない」と頭を下げた。感謝と言う言葉を何度も繰り返した。

大騒動中の会見では「ボクにフットボールをやる資格はない」と吐露した。その後、「チームを立て直すために、辞めることは無責任と考えた」と復帰を決断。「試合に出る、出ないではなく、常にチームメートのことを最優先に考えている」と話した。

OL贄田主将は「これで全員がそろった。スタートだ」と試合前にチームを鼓舞した。「宮川の復帰は心強く、友達としてもうれしかった」と笑み。「レベルも高いし、精神的にも柱」と信頼する存在だ。一緒に臨んだセレモニーでコイントスにも勝った。「いつも負けるのに、あいつがいたから」と笑った。

桜美林大が1敗を守り、優勝とTOP8昇格はお預けとなった。リーグ戦はその桜美林大と12月1日に横浜スタジアムでの残り1試合となった。勝てば1位でTOP8に自動昇格、負けると2位で入れ替え戦となる。宮川は「今後のことを言える段階ではない。チームのために1歩1歩、目の前に取り組んでいく」。橋詰監督は「あと2週間でもまだまだ伸びる。もっと活躍できる」と、最後の最後までさらなる成長を期待した。