フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第6戦、NHK杯が22日に札幌市真駒内セキスイハイムアイスアリーナで開幕する。男子の羽生結弦(24=ANA)は21日、会場での公式練習後に会見。この大会では過去に、ショートプログラム(SP)で2度、フリーと合計で1度の計4度、当時の歴代最高点を更新してきた。シリーズ上位6人で争われるファイナル(12月、イタリア・トリノ)への3年ぶり進出に向け、まず22日のSPに臨む。

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会見場には、強気な羽生がいた。報道陣から合計の歴代最高得点について聞かれると「今季は今季。昨季の得点と比べてもしょうがない。でも今シーズン一番点数を出しているのは僕だと感じている。期待に応えられるように、自分が思い描くいい演技ができたらと思っています」。GP第2戦のスケートカナダで、フリーと合計で今季最高点を記録。3月の世界選手権でチェンが記録した歴代最高合計323・42点には及ばなかったが、0・83点差と肉薄する演技で自信をつけていた。

勢いに乗った状態で、縁起の良いNHK杯に臨む。「15年の長野の演技は自分にとって大きなきっかけ。ここまで頑張らないといけないというプレッシャーを、ずっと感じられることができるきっかけになっている」。15年にはSP、フリーで当時の歴代最高得点を更新。合計点では史上初の300点超えを達成した経験が、今の原動力になっている。

転機を迎えた大会でもあった。16年に優勝するも、17年は公式練習で右足首を負傷して欠場。今年3月の世界選手権後には痛み止めの薬を飲んでいたことを明かすなど、右足首との付き合い方を考えるきっかけになった。今季はスケートカナダで優勝し、3年ぶりのファイナル進出へ有利な状況。しかし「GPファイナルというプレッシャーと、ケガをしたくないというのが自分の暗示になっている」と気を引き締めた。

札幌での公式戦は、16年のNHK杯以来3年ぶり。「今回は日本でやる。札幌でやるNHK杯。NHK杯の雰囲気、札幌の会場、リンクの感覚を感じながら、ここで最高の演技を、と意識したい」と言葉に力を込めた。苦楽を経験してきた大会で、今こそ強さを証明する。【佐々木隆史】