強化体制などを巡って、理事の総辞職が決まっている全日本テコンドー協会の問題に関し、男子80キロ級で全日本選手権8連覇中の江畑秀範(27=スチールエンジ)が25日、外部有識者による検証委員会の聞き取り調査を受けた。

同協会は新理事の選定について、外部有識者による検証委員会に一任している。高額な強化合宿の参加費など強化体制の現状などを伝えた江畑は「(金原会長の)再任はありえない」と選手側の意向を強く訴えた。

江畑の考える問題の本質はコンプライアンスに抵触したことではなく、金原体制による協会の運営能力の未熟さ。「役員を選んでいるのが金原会長。役員は金原会長の判断がないと執行できない」と体制に対する自身の考えを述べた。

テコンドーに精通し、協会を運営できる立場の人材は見当たらないとも言われる。しかし、江畑は「幅広く考えれば、人材はいないことはない」と話した。

江畑によると、同協会のスポンサーに前向きな企業も存在しているが、「今の協会だと、選手にお金が回らない」と手をこまねいている状況だという。事態打開のためにも、外部有識者による検証委員会のメスが入り、体制が生まれ変わることを願った。

同協会を巡っては集まる意味の薄い強化合宿に年間100万円の自腹参加を求められ、参加を辞退した場合は「強化選手から外します」と指摘されるなどの事態もあった。選手と協会側の溝は深まるばかりで、契約を解消するスポンサーも出た。10月28日の臨時理事会では理事の総辞職が決議され、検証委員会が立ち上がるなど混乱が続いている。