世界ランキング3位の永原和可那(23)、松本麻佑(24=北都銀行)組が、3年ぶり6度目の優勝を狙う同4位の高橋礼華(29)、松友美佐紀(27=日本ユニシス)組を21-11、22-20で破り、初の決勝に進出した。決勝は同2位の福島由紀(26)、広田彩花(25=アメリカンベイプ岐阜)組と対決する。連覇を狙う男子シングルス桃田賢斗(25=NTT東日本)、4年ぶり3度目の優勝を狙う女子シングルス奥原希望(24=太陽ホールディングス)らも決勝に進出した。

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乗り越えられなかった壁を超えた。東京五輪前年の全日本総合選手権。永原、松本組は目標の先輩でもある高橋、松友組を破り、準決勝の壁を三度目の正直でクリア。初優勝に王手をかけた松本は「試合前は緊張していたけど、自分たちらしい試合ができた」とホッとした表情を見せた。

執念だった。第2ゲーム終盤、最大5点差を縮めた19-20の場面。松本は相手コートに連続でスマッシュを打ち込み逆転。今年の世界選手権で日本勢初の連覇を果たしたナガマツペアが、3年前のリオ五輪金のタカマツペアを力でねじ伏せ2-0のストレート勝ち。東京五輪を集大成と考え、全日本総合は今年で最後の可能性が高いタカマツペアに「引導」を渡した。五輪出場2枠をかけたライバルでもある先輩の高橋礼からは「攻撃力はもちろん、どちらが前にいても強くてうらやましい」と素直に実力を認められた。

タカマツペアの背中を見てきた。16年リオ五輪直前の合宿では一緒に汗を流した。出場権を逃しテレビ観戦した五輪本番。決勝の第3ゲーム16-19から大逆転した2人の姿は目に焼き付く。東京五輪金メダルが現実的な目標になった瞬間でもあった。永原は「2年前の(全日本)準決勝で負けた試合も印象深い。自分たちは2人を目指してやってきたので」と話せば、松本も「手の届かなかった2人。合宿でずっと一緒にやってきて、それがこの試合につながった」と頼れる先輩への思いと、この日の勝利への意義を口にした。

決勝は福島、広田のフクヒロペアと対戦する。初優勝となれば、五輪選考の条件となる世界ランクのポイントが加算されるワールドツアーファイナル(11日開幕、中国)へ、いい流れができる。「初めての決勝。楽しみながら力を出し切りたい」と永原。あこがれの先輩たちに勝った勢いを初の日本一につなげる。【松熊洋介】

◆女子ダブルスの東京五輪出場争い 東京五輪選考レースは、19年4月29日~20年4月28日までに出場したワールドツアーのうち、獲得ポイントの高い10試合の合計で争われ、1カ国で最大2組が出場権を得る(2枠を獲得するには2組とも8位以内が条件)。現在女子ダブルスの五輪選考レースポイントでは福島・広田組が1位。永原・松本組は3位、高橋・松友組は6位。今後はポイントの高い、ワールドツアーファイナル(12月11日~、中国)や、全英オープン(3月)などで好成績を収めてポイントを加算していくことが大事。なお、今大会の全日本総合はワールドツアーではないためポイント加算されない。