卓球の石川佳純(26=全農)が3度目の五輪出場に向け「原点回帰」という黒髪に戻し、ラスト2戦となる海外ツアーに出発した。羽田空港で取材に応じた石川は「昨日、黒に染めました。ここまでの黒髪は18歳以来。原点回帰です」と話した。

8年前といえば初出場した12年ロンドン五輪前。石川は今、2枠の東京五輪シングルス代表争いで3番手につけていて、このまま推移すると、シングルス代表権を逃す。3大会連続の同代表権をつかむべく、ロンドン五輪前の初心に立ち返る意図を込めた。

6日から始まるチャレンジ北米オープン(OP)は通常のワールドツアーよりレベルが1ランク下がる大会。石川も「チャレンジに出るとは思わなかった」と話すほど、五輪選考レースが僅差で競り合っている。

伊藤美誠(19=スターツ)が同代表を確実にし、次に付けているのが平野美宇(19=日本生命)、3番手が石川だ。しかし、平野と石川の差はわずか65点。北米OPと、次週の海外ツアー最終戦「グランドファイナル」の2大会でどちらが上にいるかは全く分からない。平野も石川と同じ2大会に出場する。

同代表権2枠は来年1月の世界ランキングで日本人上位2人が獲得する。団体戦要員の3人目は日本卓球協会の強化本部推薦で決まる。

石川は自ら重圧を解き放つように言った。「死ぬワケじゃない。今はスッキリした気持ちでいる。あと2週間。自分らしく攻めきるプレーで、前向きな気持ちで戦いたい」。最後の戦いの場へ、笑顔で旅立った。【三須一紀】