フィギュアスケートの元世界女王でプロスケーターの安藤美姫さん(31)が、現在行われているGPファイナル(イタリア・トリノ)で4回転に挑む紀平梨花(17=関大KFSC)について「ルール改正などもあって、ジャンプの時代がまたやってきた。全日本選手権(19日開幕、東京・代々木第一体育館)も控えているし、ケガのないように頑張って欲しい」と語った。

安藤さんは02年ジュニアGPファイナルで世界初の4回転サルコーに成功。以降、今年3月に13歳のトルソワ(ロシア)が4回転トーループとサルコーを跳ぶまで成功者がいなかった。当時と今を比べ「今は取り組む意識が違う。(4回転を)跳ぶことは強みにはなると思う」と話した。

当時は4回転を飛ばなくても芸術点で勝てる時代だった。「もともとできないジャンプではないが、自分は3回転が跳べた後、次のステップのつもりでやった。遊び半分なところもあったが、今は勝つためには飛ばざるを得なくなってきた」とレベルの高さを認めた。一方で魅力はジャンプだけではないといい「トリプルアクセルだけでも勝負できる。4回転だけでなく技術や演技が見ている人に届けばいい。人の心に残るものや、選手の歩んできた道を見てもらえたら」とフィギュアスケートの楽しみ方を伝えた。

また全日本選手権後に本格的にアイスダンスに転向する高橋大輔(33=関大KFSC)についても話し「最初に聞いたときは冗談かと思った。アイスダンスはエッジワークや靴の細さも違うので大変だけど応援している」と現役時代に技術面などで刺激を受けた同世代に熱いエールを送った。

この日は都内のスケートリンクのオープニングイベントに出席。サンタの帽子をかぶり、笑顔で子どもたちにスケート教室を行った。「リンクがあるから滑ろう、という親子が増えてもらえたら。野球やサッカーに負けないくらい大きなスポーツになって欲しい」とメッセージを送った。