【トリノ=佐々木隆史】グランプリファイナル連覇を狙う紀平梨花(17=関大KFSC)が、今季自己最低の70・71点で最下位スタートした。

今季SPで3戦連続成功してきたトリプルアクセル(3回転半)を着氷でミスし、コンビネーションジャンプは転倒した。7日(日本時間8日)のフリーで、国際スケート連盟(ISU)公認大会で成功すれば安藤美姫以来、日本女子2人目となる4回転ジャンプを視野に入れた。アリョーナ・コストルナヤ(16=ロシア)が自身の世界最高を更新する85・45点で首位発進した。

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連覇に向けて紀平らしくない演技となった。今季SPでノーミスだった冒頭の3回転半。昨季に比べて安定感がでてきたジャンプを鮮やかに着氷したかと思ったが、フォローの左足が氷上に着くミス。続くフリップとトーループの連続3回転ジャンプは、トーループで転倒した。まさかの今季自己最低点。昨季女王は「体が全然動かなかった。お昼の時点で緊張していた」と要因を分析した。

狂った歯車を戻すことができなかった。この日午前に練習を終え、本番が始まったのが約10時間後。「夜の試合のこととか、いろいろ考えたいと思うと緊張した。睡眠もぐっすり寝ていたというより、目をつぶっていただけっていう感じ。今シーズンで一番調整が難しい試合だった」と、うまく使えなかった空き時間について口にした。会場入り後のウオーミングアップで調整したが、疲労感が残ったままだった。

逆転優勝に向けて、厳しい状況に追い込まれている。今季シニアデビューの3位シェルバコワ、5位トルソワはフリーで複数本の4回転ジャンプを跳び、GP2連勝。首位コストルナヤは3回転半を武器に安定感のある演技を披露する。1つでも上の順位を目指すためには、昨季から練習で取り組んできた4回転サルコーは必須になる。「明日の練習の調子によって入れるか入れないか決めたい」とぎりぎりまで調整を続ける見通しを示した。

最下位スタートだったが、明るい表情を見せた。「今日は自分の調整ミス。この演技は当たり前だなっていう気持ちだった」と開き直っていた。シニアデビュー2年目にして、引きずらない強い気持ちを持っている。昨季はISU非公認大会も含め、4試合で逆転優勝。「何とか巻きかえしたいですね」と逆境に強い日本のエースが、意地を見せる。