男子シングルス世界ランキング1位の桃田賢斗(25=NTT東日本)が、同8位のギンティン(インドネシア)に2-1で勝ち、4年ぶりの2度目の優勝を果たした。今季の国際大会制覇は11度目で、世界バドミントン連盟によると、2010年のリー・チョンウェイ(マレーシア)の10度を更新する最多記録を樹立した。

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1-1に追い付いた勝負の第3ゲーム。桃田は序盤、主導権を握られた。5-4から8連続失点。ショットや強打のレシーブがネットにかかるなど5-12と窮地に立たされた。だが世界1位の強さはここからだった。相手の姿勢が消極的に映り「変化が見えたので冷静になれた」。相手のミスにつけこんで畳み掛け、7連続得点で追い付き、勝利につなげた。

第1ゲームを奪われ、第2ゲームも中盤までリードを許す展開。「心が折れそうになったが、サポートしてくれる人たちを思い出した」。ライバルであるギンティンとの1時間半近い熱戦を逆転で制した。

今季国際大会で11勝。ずっと目標にしてきたリーの記録を塗り替えた。「抜いたのはうれしいけど、自分でいいのかなっていう複雑な気持ちもある」と胸の内を明かした一方で、自身のツイッターでは「いつかあの領域にいきたいです、もっと特訓します」と前向きにコメントした。リーは08年北京五輪から3大会連続銀メダルに輝き、約4年間も世界ランキング1位に君臨した名選手。「自分が世界に出たときの存在感はすごかった。記録は思い出にしてもっともっと強くなりたい」と決意を語った。

今年はスピードを課題に挙げ、速い攻撃を仕掛けることを意識しながらプレーしてきた。それでも「このままだといずれ抜かれる。来年もスピードを上げてもっと上を目指す」と気持ちを新たにした。独走状態になっても満足せず、来年もさらなる進化を求めて突き進む。

◆BWFワールドツアー・ファイナル 今季の世界選手権覇者とツアー成績上位者上位8人(組)で争われる。4人(組)ずつ2組に分かれて1次リーグの総当たり戦を行い、上位2人が決勝トーナメントに進む。1カ国につき最大2名(組)までしか出場できない