駒大苫小牧が武修館に2-1で競り勝ち、2年連続29度目の優勝を飾った。2-0の第3ピリオド18分15秒に失点も、相手の猛攻をしのぎ、タイトルを守った。8月の全国選抜では準々決勝で敗れており、主将のFW三浦稜介(3年)は「夏に負けて危機感はあったが、しっかり立て直せたのが良かった」と振り返った。

全国選抜敗戦後、OBで長野五輪日本代表の前王子監督、桜井邦彦氏(47)が外部コーチに加わり、週1回のペースで指導。相手1人に1人が寄せる従来のワンチェックから、パスの出どころに2人で寄せるツーチェックに守備体系を変更し、3戦17得点1失点と、安定した戦いで連覇につなげた。運動量が必要でリスクもある変革だったが、夏場の走り込みなどで徹底的に鍛え上げていく同校独自の陸上トレが土台となり、スムーズに移行。鈴木司総監督(57)は「相手に精神的ストレスを与えることでミスを誘い、そこからチャンスをつくることができた」と効果を口にした。

攻撃面でも、細かくテコ入れした。パックをキープし壁際に押し込まれた際、腰を入れて耐えしのぐことで簡単に譲らないなど、技術的な修正も施した。三浦主将は「今まで奪われていた場面でキープ出来るようになった。立て直す時間をつくることで、流れを持って来ることができた」。94年から全国高校総体9連覇を果たした鈴木総監督、当時現役選手だった桶谷賢吾現監督(38)、さらに元日本代表の桜井氏と、31度の全国制覇を誇る同校を支えてきた指導陣の知恵が融合し、しっかり選手に引き継がれ、結果に表れた。

1年生戦力の成長も生きた。FW山口凌(つばさ、1年)は夏の全国選抜後、第3セットから、最も得点力を期待される第1セットに昇格。この日は第2ピリオド17分13秒、ゴール前にこぼれたパックを逃さず、押し込んだ。主導権を握る貴重な先制点を挙げ「前からしっかり守備にいくことと、攻撃ではゴール前で体を張ることを徹底できた」と振り返った。

山口は、苫小牧和光中2年で全国中学優勝を経験。有望株は「ここで気を緩めず、高校でも日本一になりたい」。戦力、戦術ともに充実した王者駒大苫小牧が、来年1月22日開幕の全国大会(帯広市ほか)で2年連続32度目の日本一を狙う。【永野高輔】