男子の羽生結弦(25=ANA)が20日、4年ぶり5度目の優勝へSPに登場する。19日の今大会初練習で演技構成の変更をテスト。最後のジャンプを4回転-3回転の連続トーループからトリプルアクセル(3回転半)に入れ替える可能性が出てきた。一因はフリー「Origin」の曲かけ練習。まず4回転ループの着氷で手をつくと、続くサルコー、ルッツ、トーループ、アクセル、すべての回転が抜けた。氷上で表情が曇る。腰に手を当て、首を振った。曲かけ中のジャンプ成功なしは今季初。体が重い。疲労は色濃かった。

11月下旬のNHK杯、12月上旬のGPファイナルと5週で3戦の過密日程は4年ぶり。「練習どころではないも過言ではないくらい大変だった」。前日の言葉は想像を超えたが、曲かけ後は失敗したジャンプに全成功と修正。残り10分になると、さらに試みた。リンク中央、頭の中でSPの「秋によせて」を奏でる。4回転サルコー。次は3回転半…のはずが4回転-3回転の連続トーループを先に持ってきた。この流れを2度。最後は美しく降りた。

実行すれば「秋によせて」2季9戦目にして初の構成変更。基礎点が1・1倍になる後半のジャンプを、点が低い3回転半へ入れ替える「プランB」を用意した。合計点が0・57ポイント下がるのは、わずかな差であれ本望ではない。それでも、連続ジャンプを前倒しすれば負担をやわらぐ。

大義、のためだ。9月の今季初戦オータムクラシック。「健康で1シーズン滑り切りたい思いが強い」と4季ぶり完走を目標に定めた。16年インフルエンザ、17年と18年の負傷(右足首)は繰り返したくない。今季は4戦を全うし、前日も「大きなけがなく」を3度も発した。答えは当日に出す。オーサー・コーチは口にチャックのしぐさで明言を避けたが、来年3月の世界選手権(カナダ)を見据えれば安全策も戦略だ。プランAもBも現段階ベストの選択になる。【木下淳】