男子フリースタイル86キロ級の高谷惣亮(30=ALSOK)が新境地に挑んでいる。優勝で東京五輪アジア予選代表の座を得る戦い。この日の準々決勝、準決勝とも従来よりも足を機敏に動かし、フットワークを重視した。「世界選手権は体調が悪かったのがありましたが、足が止まったところを(点が)取られた」と3回戦負けで東京五輪内定を逃した9月の戦いを反省。6分間、最後まで動き続けるスタミナを重視してここまでトレーニングを積んできたという。

準決勝の第2ピリオドでは、あえて相手を誘うような横ステップなども織り交ぜ、追い続けて体力を減らした相手を崩す狙いを明確にしていた。攻められ不足に十分な実戦機会をとはいかなかったが、「明日の決勝で納得いく動きをしたい」と見通した。

五輪はロンドン、リオデジャネイロと出場し、東京で3度目での悲願のメダルをかける。「オリンピックの金メダルは予約してあるので」とさらりと言う。14年に世界選手権で銀メダルを獲得するなど、欧米勢の層が厚い中量級でも第一線で戦い続けてきた自負がある。階級を上げ、新スタイルを模索し、その目は母国五輪での頂点しか見ていない。