フィギュアスケート全日本選手権の男子フリーは22日、東京・国立代々木競技場で行われる。ショートプログラム(SP)首位の羽生結弦(25=ANA)が21日の公式練習に参加。国際スケート連盟(ISU)非公認ながら自己最高の110・72点を記録した前日SPに続く、出来栄え点(GOE)重視といえる構成で臨む。4年ぶり出場で5度目の優勝を連続“自己ベスト更新”でつかみ取る。競技終了後、来年3月の世界選手権(カナダ・モントリオール)男女代表が決定する。

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羽生が、フリーでも完成度を最優先する可能性が出てきた。「Origin」の曲かけ練習。前戦グランプリ(GP)ファイナルで決めた高難度の4回転ルッツは封印したが、これは帰国した18日に明かしたもの。変更点は中盤の3連続ジャンプにあった。最後の3回転をフリップからサルコーへ。基礎点は5・30から4・30に下がるものの、難易度を下げることで全体の出来栄えを良くすることは可能だ。

実行すれば前日に続く挑戦になる。SPでは、従来最後の4回転-3回転の連続トーループを前倒しして成功。基礎点は0・57減もGOEは4・34も稼いだ。気持ちの余裕が、GPファイナルで単発に終わっていた連続ジャンプを完璧にした。成功例にならえば、昨年10月のGPスケートカナダで記録したフリー212・99点、合計322・59点の自己ベスト以上も視野に。GOE重視のプログラムに構成し直すことで、同大会の冒頭で失敗した4回転ループ着氷の可能性も高まる。

気持ち良く、この日の練習も冒頭のループから3種4本の4回転ジャンプをすべて成功させた。前夜に「(最終滑走の)フリーは整氷1時間後になる。どんな感覚でループを跳ぶのか、サルコーを跳ぶのか氷の感触を確かめたい」と話した通りの丁寧な滑りだった。

最後はインナーの長袖を半袖に、ジッパーを閉じずに羽織ったジャージーを風になびかせながら、3回転半で心地よく締めた。現行の採点制度となった04年大会以降、最長ブランクとなる4年ぶり制覇と高橋大輔に並ぶ最多タイ5度目の全日本Vへ。当日判断になるが、羽生には新たな挑戦の選択肢がある。【木下淳】