ラグビーの“にわかファン”が本格的なファンに変わり始めた。12日、トップリーグ2020第1節・パナソニック-クボタが行われた、埼玉・熊谷ラグビー場を多くの観客が訪れた。

この日、全国6会場で8試合が行われたが、熊谷での試合は急きょ当日券が販売された。

昨季の開幕戦では前売り券が完売した会場はなかった。熊谷ラグビー場でチケット販売担当者の山崎渉さん(52)は「昨年は何枚でも当日券があったし、売り切れることはなかった」と振り返った。

昨年、日本代表が8強入りする大躍進を果たしたワールド・カップ(W杯)を経て、国内ではラグビー人気に一気に火が付いた。この日は当日券を約300枚用意。「W杯の影響がすごくて、朝の7時半来たときには、もう人が並んでいた」と驚いた。10時の販売開始前に200人が列を成し、30分足らずで売り切れたという。

この人気を一過性に終わらせないためにも工夫が必要だ。ラグビー協会の関係者によると、この日はJR熊谷駅と試合会場を結ぶ路線バスを通常よりも30便増加した。タクシーも30台ほど増やし、熊谷市の自転車レンタルも用意した」という。

しかし、W杯開催時に比べると運営資金が明らかに少ないと嘆いた。W杯では観光バスが380台用意されるなど、観客の移動資金力の違いを指摘した。

それでもこの熱を冷めさせたくはない。関係者は「ラグビーをまず知ってもらう、見に来てもらうようにしなくてはいけない」と目の前の事から解決していくと意気込んだ。「開幕戦だから、これだけのバスなどを用意できたけど、次の試合のことはまだ決まっていない」とも語った。

1つ1つの課題を解決していくことにより、「今の子どもたちが遊ぶサッカーや野球の中に、1つの選択肢としてラグビーが入ってくれればな」と未来を見据えてほほ笑んだ。【佐藤勝亮】