ラグビーの“にわかファン”が本格的なファンに変わり始めた。12日、トップリーグ2020第1節・パナソニック-クボタが行われた、埼玉・熊谷ラグビー場を多くの観客が訪れた。

この日、全国6会場で8試合が行われたが、熊谷での試合は急きょ当日券が販売された。

「私、何も知らないので大したこと話せないです」。会場周辺に集まったファンの1人は謙遜しながらもラグビーに関心を抱いている様子を語った。多くのファンは「ラグビーW杯を見て、1度生で見てみたかった」と口にした。

試合が行われた熊谷ラグビー場は、最寄りのJR熊谷駅から徒歩で50分を要する。決して交通の便が良いとは言えない。それでも、この日登場したパナソニックには日本代表として活躍した、福岡、稲垣、堀江などスター選手が多く所属。多くのにわかファンの目当てとなった。

茨城から来たという吉島美貴さん(41)はラグビー初観戦を心待ちにしていた。第一声は「にわかファンです」。“笑わない男”として、今やテレビのバラエティー番組でも引っ張りだことなっている稲垣の名前を挙げて「体や、女性に優しいところが大好き」と話した。

同僚と3人で来たという井坂栞さん(23)は「W杯をみて、全体的な迫力や流れをみたいと思った」と笑顔だ。職場でラグビー女子の会話が盛んになったといい、この日も「あの選手のここを見た方が良い」などとアドバイスを受け、予習ばっちりで会場に向かった。

選手の人柄に引かれるファンも多くいた。千葉県松戸市から初観戦にきたという吉田萌乃果さん(21)は福岡の「文武両道なところがたまらない」と心を躍らせた。また、稲垣が、大会前に、母校に芝生をプレゼントしていたニュースを知り「注目される前から人柄が良かったから結果がでたのかな」と日本代表の躍進の要因を分析。「ONE TEAM」になって日本中を沸かせた紳士たちの勇姿をもう1度、自分の目で確かめたかったという。

高橋秀幸さん(56)の娘は、クボタのキャプテン立川の子どもと仲良しだという。「ラグビーは本気でぶつかる迫力と、ONE TEAMの雰囲気がすごい」と2回目の観戦に訪れた。この日は「もちろん立川選手の応援です」と笑い、娘は立川を「いつも優しいお父さん」とべた褒めした。立川から「寒いから暖かくして来てね」と優しくアドバイスされたという。家族4人で防寒ブーツを購入しての観戦。今日からまた、ラグビーの新しい感動を探しに競技場を訪れた。【佐藤勝亮】