ヤマハ発動機は31-29でトヨタ自動車に競り勝ち、10シーズン連続で開幕白星発進した。

互いにトライを奪い合う攻防で、SH矢富勇毅(34)が2トライを奪う活躍を見せた。昨年のワールドカップ(W杯)後初のリーグ戦で、ヤマハスタジアムでは過去最多の1万3985人が来場。W杯フィーバーに沸いた大声援を力に変えて、終盤の相手の反撃をしのぎきった。

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スタンドの大声援は最後まで鳴りやまなかった。ヤマハ発動機は7点を追う前半35分、SH矢富がトライ。同点で前半を折り返すと、後半も食らいついた。同10分に勝ち越しトライを許すも、再び矢富が奮起。24分に中央の混戦から抜け出し、この日2トライ目を奪った。「多くの声援がうれしかった」。W杯に似た会場の一体感が、選手に力を与え続けた。

後半33分には、フランカーの南アフリカW杯代表クワッガ・スミス(26)のトライで突き放した。その後は相手の反撃を受ける苦しい展開。それでも、FW陣が強いコンタクトではね返し、2点差を守りきった。日本代表フランカーのヘル・ウベ(29)はW杯に出場し、異例の盛り上がりを肌で感じた1人。試合後は「残り10分の応援が特に力になった」と感謝した。

入場者数は過去の記録を約600人上回り、最多記録を更新。文字通り、ファンも含めた「ONE TEAM」で10シーズン連続開幕白星を手にした。堀川隆延監督(46)は「ホームで満員のお客さんに勝利を届けられてうれしい」と笑みを浮かべた。次戦は昨季リーグ覇者の神戸製鋼が相手。日本代表4人を擁する難敵だが、ウベは「楽しみ」と力を込めた。【倉橋徹也】