ラグビーの国内最高峰、トップリーグ(TL)が12日、開幕した。

日本中に感動を呼んだ19年W杯日本大会後初のシーズンとなり、活躍した日本代表が所属チームに分かれてプレー。6会場で9万2347人のファンが集まった。埼玉・熊谷ラグビー場では、日本代表最多6人が所属するパナソニック(昨季6位)がクボタ(同7位)に34-11で快勝。7人制で20年東京五輪出場を目指すWTB福岡堅樹(27)が2トライを挙げるなど、チームの白星発進に貢献した。

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27歳の「トライゲッター」が熊谷に帰ってきた。感謝の思いをトライで伝える-。福岡は、開幕戦からW杯をほうふつとさせるような存在感を示した。会場を埋め尽くした約1万8000人のファンの期待と重圧を背負いながら、50メートル5秒8の快足で圧巻の2トライ。白星発進に貢献した。「TLでこれだけ多くの方に囲まれて、プレー出来るのは本当に幸せ。感謝しかない。W杯でラグビーの魅力が伝わった」と喜んだ。

圧巻の2トライだった。前半17分。SO山沢のキックパスをCTBライリーが空中でタップして、福岡へパス。インゴールへ飛び込んだ。同21分には左サイドを駆け上がり、巧みなステップで3人を抜き去ってトライ。「自分らしい走りも見せられてホッとした」。W杯後はテレビ出演やイベントなどで多忙を極めたが、昨年12月からは「チーム最優先」で調整も万全だった。

4位だった16年リオデジャネイロ五輪に続き、7人制での東京五輪を目指している。五輪ならではの他競技含めた日本選手団として戦う気持ちを強く持つ。前大会でメダルを逃し「後悔はある。そのリベンジを果たしたい」。当初はW杯直後に合流を検討していたが「チームに恩返ししてから次の道へ進む」と気持ちが変化した。

TLでの最終出場は「まだ確定してない」とするが、国際大会の多い7人制の代表日程やスピードを重視した肉体改造を施す必要があることなどを考慮すると、第2節の18日のトヨタ自動車戦(愛知・豊田)までが濃厚だ。そのため「1試合1試合を大事にしていきたい」と感慨深げに言う。

W杯、東京五輪を経て、次はもう1つの夢である医師の道へ進む。来季までチームとの契約は残っているが、ラグビー人生はのこりわずか。完全燃焼するため、日本が誇るスピードスターは歩みを止めない。【峯岸佑樹】

◆福岡堅樹(ふくおか・けんき)1992年(平4)9月7日、福岡県古賀市生まれ。5歳でラグビーを始める。福岡高3年時に全国高校大会(花園)に出場。医者志望で複数の大学からの誘いを断り、1浪後に筑波大(情報学群)に進学。大学では2度の大学選手権準優勝に貢献。15、19年W杯日本代表。日本代表38キャップ。祖父は内科医、父は歯科医。175センチ、83キロ。

◆男子7人制ラグビーの東京五輪への道 日本協会は昨年12月、代表第2次候補を発表。15人制の15年W杯代表の藤田慶和ら28人が選出された。19年W杯代表で参戦を考えている福岡、レメキ、松島は入らなかった。岩渕ヘッドコーチは現在も数人と協議を重ねており、順応するためにも早めの合流を求めている。今後は、国内合宿と国際大会を経て、5月に20人程度に絞り、最終的に12人を選出する予定。