日刊スポーツ新聞社が運営する、スポーツや部活を頑張る小中高アスリートや保護者、指導者のためのスポーツ栄養・食育サイト「アスレシピ」は19日、明大ラグビー部とのコラボセミナー「体を大きくするための食事の取り方~明治大学ラグビー部の食事に学ぶ~」を東京・駿河台キャンパスで開催した。

アスレシピ主催イベントで過去最多となる171人の申し込みがあり、従来の保護者だけでなく栄養指導者や現役選手が多く参加。本年度は準優勝に終わったものの、全国大学ラグビー選手権で3年連続決勝進出(昨年度は日本一)の強豪校の食の秘密を学んだ。

セミナーは2部構成で行われ、第1部は明大ラグビー部の管理栄養士を13年から務める山田優香さんが登壇。寮の実際の食事や、体力向上の成功例をまじえて約1時間、講演した。内容は

<1>ラグビー選手の増量とは?

<2>自分の身体の状態を把握する

<3>食卓にもポジションがある~明治大学ラグビー部の献立~

<4>効率よく骨格筋量を増加させる

<5>週1回のオフの日の食事も重要

<6>各選手への筋力トレーニング&食事のアプローチ

山田さんは集まった受講者に対し、それぞれの項目に関する最先端の理論を惜しみなく披露。その一端を明かすと、<2>では体重-体脂肪量=除脂肪量で筋量の増減を把握することや<3>では(1)主食(2)メインのおかず(3)野菜料理(4)果物(5)乳製品をポジションに見立てた。

(2)と(5)は体づくりに不可欠の栄養として「攻め」。(3)と(4)は野菜のビタミンAが粘膜強化→風邪予防、ビタミンCが疲労回復や関節炎の予防に効果があることに着目し「守り」とした。最後に、頭と体を動かす炭水化物の(1)が「戦略」。パフォーマンスの向上に必要な栄養素を分かりやすく解説した。全92人の部員が生活する運動部の寮の朝(ビュッフェ)昼晩(定食)の献立も写真で。出席した主将のフッカー武井日向(4年=国学院栃木)のバランスが整った実例も示しながら「明大のフィジカルの強みは朝食にあり」と笑顔で説明した。

その朝食のおかずの数(SH3つ、BK4つ、FW4つ以上)や1日の総摂取カロリーが原則、ポジションごとに決まっていることも紹介。しかし、一概にBKといっても明大には192センチ、101キロのCTB児玉樹(2年=秋田工)や、186センチ、88キロのFB雲山弘貴(2年=報徳学園)と規格外の選手がいることも引き合いに出しながら「適正体重の数値より重くても動ける選手もいるし、数値にこだわりすぎて俊敏性や持久力が落ちては困る」と柔軟に対応。食事と体重のチェック表を基に週1回の個人面談で、きめ細やかに調整している内幕も打ち明けた。

「寮食総選挙」の昼食部門で1位になったでオムハヤシの人気ぶりや「ちょい残し」禁止の約束事など、参加者の興味や共感を呼んだ講演は、あっという間に終了。継続の重要性と覚悟が必要と説いて締めくくった。終了後は、会場出口の外に立った山田さんの前に大行列。その1人1人に対し、丁寧に相談に乗って日本トップクラスの栄養学をアドバイスした。受講者が持ち帰った日本トップクラスの栄養学が新たな広がりを生み、スポーツ界全体の底上げにつながりそうだ。【木下淳】