本年度の全国大学ラグビー選手権を11年ぶりに制した早大の優勝パレードが25日、練習場がある東京・上井草で行われた。

SH斎藤直人主将(4年)やCTB中野将伍(4年)はスーパーラグビーのサンウルブズで活動中のため参加しなかったが、相良南海夫監督(50)や副将のフランカー幸重天、司令塔のSO岸岡智樹(ともに4年)が行進。応援歌「紺碧の空」や「コンバットマーチ」の吹奏が響く中、主催の地元商店街の人たちやファンに頭を下げたり笑顔を見せながら、西武新宿線の上井草駅前からグラウンドまでを20分ほどかけて練り歩いた。

その後、グラウンドを開放して行われた優勝報告会には約4000人が集結。相良監督が「おかげさまで明治大学を(45-35で)破って11年ぶりの日本一になりました。127人の全部員の1日1日の積み重ね、スタッフも含めた全員の努力、そして地域の皆さんやファンの方々に応援していただいたおかげです」と感謝。パレードに「感無量。涙が出そうになりました。一生の思い出にしたい…と思いましたけど、来年がある。こんなに素晴らしい場所があるのなら、来年も優勝を目指して頑張って、また戻ってきたい」とあいさつし、拍手を浴びた。

幸重も「国立競技場での決勝の前に、皆さんのお見送りを受けて『勝ってやろう』という気になった。結果で少しは恩返しできたかなと思います。来年度も、決勝を経験した選手が3年生以下に多く残るので、連覇に向けて頑張ってほしいし、変わらぬご声援もお願いします」と呼びかけた。

「宿敵明治を倒して優勝しました!」と司会者が盛り上げた後、杉並区の田中良区長(59)が「宿敵明治の出身です」と苦笑いで登場する場面も。OBとしてはライバルでも、地元の人気大学の成果に「歴史に残り、語りぐさになる素晴らしい優勝だった。(大学選手権の)早明決勝は23季ぶり。強かった明治を破っての日本一は努力のたまもの」と称賛。しかし、明大カラーの紫紺のハンカチを出す意地も見せて笑わせた。

最後は、日本一になった時だけ歌うことが許される第2部歌「荒ぶる」を合唱した。それから始まったサインや記念撮影などのファンサービスは2時間に迫る大盛況となり、1番人気の岸岡に大行列ができた。相良監督の次男で1年生レギュラーのフランカー昌彦も丁寧に名前を書き続けていた。

終了予定時刻を1時間以上もオーバーする丁寧な対応を終えた後、取材に応じた相良監督は「自分が現役の時はなかったので、どんなものか分からなかったけど、予想以上の人が来てくださって驚きました」。主将の斎藤について「本来はこちらを優先すべきと思っていましたが(サンウルブズの開幕前、最後の練習試合と重なり)送り出した。次のステップ、未来に向けてチャレンジしたいという本人の意向を尊重しました」と説明した。

新体制は2月10日に発表される予定。相良監督は「今日、来てくださった方々を裏切れないという思いはあるが、実は連覇という気持ちはない。新チームとして、来年は来年として、また大学日本一を目指す1年にしたい」と引き締めた。【木下淳】